2006 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価ヨウ素(III)反応剤を用いた環境調和型新規酸化プロセスの開発研究
Project/Area Number |
06J08849
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丸山 明伸 大阪大学, 大学院薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超原子価ヨウ素反応剤 / 触媒反応 / メタクロロ過安息香酸 / トリフルオロエタノール / ヘテロ環 / ルイス酸 / シアノ化 / 二量化 |
Research Abstract |
本年度は重金属酸化剤と類似の反応性を示し、毒性が低く取り扱いの容易な超原子価ヨウ素反応剤を利用した新規反応の開発およびグリーンケミストリーを志向したプロセスの開発研究を行った。 1.通常、量論酸化剤として用いられる超原子価ヨウ素反応剤を触媒的に利用することは、環境調和の観点から大変魅力的である。このような例は電解酸化を除き、最近まで皆無であった。昨年度我々は、共酸化剤としてメタクロロ過安息香酸と有機ヨウ素触媒を用いるフェノール類のスピロラクトン形成反応の開発に成功しているが、本触媒系にはトリフルオロ酢酸などの強酸を添加する必要があり、官能基等に制限があった。そこで私は、適用範囲の拡大を目指してより緩和な触媒系の構築を検討した結果、溶媒にトリフルオロエタノールを用いる強酸を必要としない新たな触媒系を見出した。本条件下では、以前には不可能であった酸に不安定な基質や生成物の場合も問題なく反応が進行した。更に、この触媒系を他の反応へと応用し、ニトレニウムイオンを経由するフェノール誘導体の触媒的スピロラクタム形成反応の開発にも成功した。本反応は超原子価ヨウ素反応剤を触媒的に利用する初めての炭素-窒素結合形成反応として有用である。 2.超原子価ヨウ素反応剤であるPhenyliodine bis(trifluoroacetate)(PIFA)を用い、添加するルイス酸をうまく選択することでチオフェン、ピロール等のヘテロ芳香環への直接的シアノ基導入反応および酸化的二量化反応が選択的に起こることを見出した。
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Research Products
(4 results)