2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しい分子設計概念に基づく高性能糖質系ホスト分子の開発と再生医療への応用
Project/Area Number |
06J08874
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊澤 明 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シクロデキストリン / スペーサー挿入 / ジスルフィド結合 / 包接能 / 刺激応答性 |
Research Abstract |
本研究は、シクロデキストリン(CD)環骨格に刺激応答性ユニットを挿入し、外部刺激によりゲスト包接能を制御できる新しい刺激応答性CD誘導体の開発および再生医療への応用を目的としており、1.刺激応答性CD誘導体の合成と包接能制御、2.刺激応答性CD誘導体を利用したハイドロゲルの作成と再生医療への応用という2段階から構成されている。平成18年度は1段階目の遂行を試みた。 刺激応答性CD誘導体の合成は、完全メチル化CDのグルコシド結合の一点開裂反応により得られる直鎖オリゴ糖誘導体の末端水酸基をアミノ基へと変換した後、S-S結合をもつ3,3'-ジチオジプロピオノイルジクロライドとの環化反応により行った。また、合成したCD誘導体を還元剤であるジチオスレイトール(DTT)水溶液で処理すると、ジスルフィド結合(S-S結合)の開裂が認められ、その濃度を変化させることにより、開裂の速度を制御することができた。次に開裂生成物をヨウ素により酸化すると、元の環状化合物が約40%再形成することも確認された。また、合成したCD誘導体の包接能をゲストにBasic Blue 7(BB7)を用いて検討した結果、環状生成物ではBB7に対して高い包接能を示したが(18000 M^<-1>)、開裂生成物ではその包接能が低下した(7000 M^<-1>)。この包接能の差を利用して、S-S結合の開裂に伴うBB7の放出挙動をNMR測定により観測した。その結果、S-S結合の開裂に伴うシフト変化から、内包されていたゲストの放出を確認できた。 これらの内容については、第52回高分子研究会、第1回ホストゲスト化学シンポジム(優秀ポスター賞受賞)、第45回日本油化学会年会(ヤングフェロー賞受賞)にて発表し、高い評価を受けた。また、Angewandte Chemie International Editionに論文を投稿中である。
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