2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しい分子設計概念に基づく高性能糖質系ホスト分子の開発と再生医療への応用
Project/Area Number |
06J08874
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊澤 明 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | シクロデキストリン / スペーサー挿入 / ジスルフィド結合 / 包接能 / 刺激応答性 / 再生医療 / ハイドロゲル |
Research Abstract |
本研究は、シクロデキストリン(CD)環骨格に刺激応答性ユニットを挿入し、外部刺激によりゲスト包接能を制御できる新しい刺激応答性CD誘導体の開発および再生医療への応用を目的としており、1.刺激応答性CD誘導体の合成と包接能制御、2.刺激応答性CD誘導体を利用したハイドロゲルの作成と再生医療への応用という2段階から構成されている。 S-S結合をもつスペーサーをCD環骨格に挿入した刺激応答性CD誘導体の合成をα-CDだけでなくβ-CDを用いても行い、環サイズの違いによる環の開裂や包接挙動の変化について検討した。その結果、合成したCD誘導体は還元剤で処理すると、S-S結合が開裂し、その開裂速度は環サイズの違いにより大きく異なることが分かった。また、CD誘導体の包接能の違いをゲストにBasic Blue7(BB7)を用いて検討した結果、α-CD誘導体のほうがβ-CD誘導体よりもBB7に対して高い包接能を示すことが明らかとなった。また、S-S結合の開裂に伴うBB7の放出挙動をNMR測定により観測した結果、β-CD誘導体のほうが内包していたゲストをより長期間放出可能であった。 次に再生医療へと応用するために、刺激応答性CD誘導体を内包させたキトサンゲルを作成した。しかし、ハンドリングが悪く、また弾力性に乏しかったため、ポリビニルアセトアミドとポリアクリル酸からなる相互侵入高分子網目(IPN)ゲルを作成し、これらの問題点を解決した。さらにポリアクリル酸は皮膚接着性を有するので、作成したIPNゲルを経皮吸収製剤へと応用するため、BB7を用いて放出実験を行った。その結果、刺激応答性CD誘導体とBB7を同時に内包させたIPNゲルのほうが、BB7単独のものよりも長期的に徐放できることが確認できた。以上の結果から、この刺激応答性CD誘導体は再生医療への応用が期待できるものであると考えられる。
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Research Products
(7 results)