2006 Fiscal Year Annual Research Report
不飽和炭化水素間に創られる特異π配位空間におけるパラジウム集積体構造の自在制御
Project/Area Number |
06J08891
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辰巳 泰基 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機金属化合物 / パラジウム / サンドイッチ型化合物 / 金属クラスター / 精密構造制御 / 酸化還元 |
Research Abstract |
複数の金属原子を定まった形状に集積させ、またサイズ選択的に種々作り分けることは、無機化学・材料科学などの観点から重要な到達目標であるが、これまで達成された例はほとんどない。本研究では従来法とは異なる手法として、炭素原子のみで主骨格をつくる不飽和炭化水素を鋳型配位子として用いて、パラジウム集積体の構造を制御することを目指している。本年度は、以下に示す2点、1)折れ曲がり型の弓形パラジウム鎖の構築、2)ゼロ価パラジウム鎖をもつ錯体の合成をそれぞれ達成した。 1.all-transポリエンの共役鎖中にo-フェニレンを挿入した1,2-bis(4-phenyl-1,3-butadienyl)benzene(o-BPBB)配位子と[Pd_4(perylene)_2(CH_3CN)_2][BAr_f]_2(BAr_f=B{3,5-(CF_3)_2C_6H_3}_4)との反応により、弓形パラジウム4核鎖をもつ[Pd_4(o-BPBB)_2][BAr_f]_2を合成した。X線構造解析の結果から、弓形パラジウム4核鎖は折れ曲がり角30。で2回折れ曲がる構造をもつことが判明し、以前に合成した[Pd_5(p-BPBB)_2][BAr_f]_2中のV字型5核鎖(折れ曲がり角60°)とは異なることを明らかにした。この結果から、パラジウム鎖の折れ曲がり角が配位子のπ共役骨格の幾何構造に依存することを明らかにした。 2.ジカチオン性の一次元錯体[Pd_4(Ph(CH=CH)_4Ph)_2][BArf]_2の2電子還元反応により、中性電荷の錯体Pd_4(Ph(CH=CH)_4Ph)_2を合成した。類似錯体のX線構造解析により、中性錯体においても4つのパラジウム原子が鎖構造を形成していることを明らかにした。この中性錯体は塩化アリルとの反応で[Pd(allyl)Cl]_2を与え、ゼロ価パラジウムを放出する性質があることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)