2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノスケール電子系における電子相関効果とスピン制御の理論的研究
Project/Area Number |
06J08894
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 洋一 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子ドット / アンドレーエフ反射 / 近藤効果 |
Research Abstract |
近年の微細加工技術の進歩により、量子ドットなどのナノスケール電子系における電子の多体効果・干渉効果と、それらの効果に起因した電子輸送特性について盛んに研究が行われている。本年度は、量子ドットに超伝導リードと常伝導リードを繋いだ系に注目し、電子の多体効果・干渉効果とアンドレーエフ反射が織り成す輸送特性について研究を行った。 1、量子ドットに超伝導リードと常伝導リードを繋いだ系について、数値繰り込み群を用いて解析を行った。その結果、系の基底状態はドット内のクーロン相互作用の大きさに依存して、超伝導相関または近藤効果によるスピン一重項状態をとり、これらのスピン一重項状態のクロスオーバーがコンダクタンスにピーク構造として顕著に現れることを明らかにした。また、この系における低エネルギー状態が局所フェルミ流体論で記述されることを示した。この研究成果は、2006年7月にオーストリアで開かれた国際会議ICPS' 06(International Conference on the Physics of Semiconductors)にて発表した。さらに、この研究成果を論文にまとめ、Journal of the Physical Society of Japanに投稿した。 2、並列型およびT字型ダブルドットに超伝導リードと常伝導リードを繋いだ系を考え、電子の干渉効果が与えるアンドレーエフ反射への影響について解析を行った。その結果、電子の干渉効果に起因したディップ構造がコンダクタンスに生じるとともに、ダブルドットの配置がディップ構造の形状に大きく反映されることが分かった。この研究成果は、2006年8月にトルコで開かれた国際会議ICSNN' 06(International Conference on Superlattices, Nano-Structures and Nano-Devices)にて発表した。
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Research Products
(1 results)