2006 Fiscal Year Annual Research Report
化学的・物理的な刺激に応答して固体光物性を変調するナノ分子デバイスの創出
Project/Area Number |
06J08930
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
溝部 祐司 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 結晶工学 / 超分子化学 / 光化学 / 有機固体化学 / 有機塩 / 単結晶X線構造解析 / 固体蛍光 / 有機固体材料 |
Research Abstract |
本研究では、これまで有機塩を用いて得られている知見にダイナミクスの要素を取り入れ、ゲスト分子の吸着・脱離反応(化学的刺激)および熱・圧力による多形転移(物理的刺激)に応答して固体光物性を変調できる超分子系の構築を目的とした。 本年度の目的としては、スルホン酸基を導入した蛍光性分子と市販品である種々の一級アミンからなる塩を作成し、単結晶X線回折装置を用いて、超分子構造を解析することにより化学的・物理的外部刺激に応答的な超分子系の探索を行った。さらにこの超分子系を用いて、外部刺激応答的な固体発光特性の動的な変調を達成した。 本年度の成果を以下に列挙する。 1.様々な有機化合物を用い、外部刺激に応答的な超分子系のスクリーニングを行った。赤外吸収分光法、核磁気共鳴分光法、熱重量分析法、粉末X線回折法、単結晶X線回折法などを用いて超分子系の構造を調べ、目的とする超分子系の絞込みを行った。化学的刺激であるゲスト分子を包接した超分子系などの構造が明らかとなった。さらに固体蛍光分光法により超分子系の固体発光特性を調べたところ、包接されているゲスト分子に依存的な固体発光特性が観測された。 2.この超分子系について、熱、ゲスト分子の吸着・脱離、圧力などの様々な刺激を与えたときの超分子構造変化および固体発光特性変化を検討した。測定は、時間分解X線回折法および固体蛍光分光法を用いた。 3.種々の外部刺激を組み合わせることにより、三つの超分子構造を回るサイクルをもつ超分子系の構築に成功した。このサイクルによって固体発光特性を可逆的に変化させることができた。 4.化学的刺激を変化させることにより、同一の物理的刺激に対しても、超分子構造および固体発光特性の応答性が異なる超分子系を確立することができた。
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Research Products
(4 results)