2007 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリン結合性セマフォリン分子Sema7Aの免疫系における機能解析
Project/Area Number |
06J09023
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 一博 Osaka University, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Sema7A / α1β1インテグリン / 活性化T細胞 / マクロファージ / 免疫シナプス / 接触性過敏反応 / 自己免疫性脳脊髄炎 / エフェクター相 |
Research Abstract |
セマフォリンは神経軸索の誘導因子として同定された分子群であるが,近年免疫応答の制御にも深く関与していることが明らかになっている.GPIアンカー型のセマフォリンであるSema7Aは,β1インテグリンを介して神経軸索の成長を促進することが報告されているが,その免疫系における機能は明らかにされていなかった.そこで我々は,Sema7Aの免疫応答における役割について検討した.我々は,Sema7Aが活性化T細胞上に発現し,α1β1インテグリンを受容体としてマクロファージの活性化に関与することを示した.またSema7Aとα1β1インテグリンがT細胞とマクロファージ間の免疫シナプスの構成要素であることが明らかになった.さらに,生体レベルでの免疫応答におけるSema7Aの役割について,Sema7A欠損マウスを用いた解析を行った.Sema7A欠損マウスは,接触性過敏反応および実験的自己免疫性脳脊髄炎とったT細胞依存性の免疫応答において低反応を示した.そこで接触性過敏反応のモデルにおいてSema7Aの作用機序について詳細な解析を行った.その結果,Sema7A欠損マウスにおいても抗原特異的なT細胞は正常に産生されており,炎症部位へのT細胞の移動にも異常は認められなかった.しかし,抗原特異的なT細胞を炎症部位に直接移入した場合,Sema7A欠損T細胞によって誘導される接触性過敏反応は,野生型のT細胞を移入した場合に比べて減弱した.これらのことから,活性化T細胞上に発現するSema7Aは免疫応答のエフェクター相において,局所での炎症反応を促進することが明らかになった.本研究により,インテグリンを介した免疫応答の新たなメカニズムが明らかになるとともに,炎症性疾患の治療においてSema7Aが分子標的となる可能性が示唆された.
|
Research Products
(5 results)