2007 Fiscal Year Annual Research Report
高励起三重項状態からの分子内電荷分離と超高速スイッチ分子デバイスへの応用
Project/Area Number |
06J09028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大関 陽介 Osaka University, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高励起3重項状態 / 2段階レーザー照射 / 分子内エネルギー移動 / 3重項増感 / 過渡吸収 |
Research Abstract |
異なる波長を持つレーザーの2段階照射によって選択的に起こる分子内エネルギー移動について検討した。ピレン、ビフェニル、そしてフタルイミドとチオフェンから成る色素(ImT)をメチレンとイミドで連結した分子を合成し、2段階レーザー照射時の過渡吸収測定を行った。第1レーザー照射によって生成したImTの最低励起三重項状態の吸収が第2レーザー照射によって減少し、新たにピレンの最低励起三重項態の吸収が生成した。これは第2レーザー照射によって生成したImTの高励起3重項状熊からビフェニルを経由してピレンへ分子内3重項エネルギー移動が起きたことを示している。また、第2レーザーにピコ秒レーザーを用いた高時間分解測定から、2段階レーザー照射選択的な分子内3重項エネルギー移動が非常に高速かつ高効率であることも明らかになった。そのため、この分子を超高速の分子スイッチと考えることができる。 2段階レーザー照射選択的な3重項増感反応の高効率化を検討した。上記の分子系を用いてtrans-スチルベンの3重項増感反応による異性化を行ったところ、trans-スチルベンの濃度が10^<-4>M以下の場合でも2段階レーザー照射選択的に分子間3重項エネルギー移動が起こり、異性化できることが分かった。2段階レーザー照射選択的な反応は空間選択性を持っているため、3次元記録材料等への応用が考えられる。そのため、上記の分子系を用いることで空間選択的な反応を効率良く起こすことが可能である。
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Research Products
(1 results)