2007 Fiscal Year Annual Research Report
共役高分子1分子鎖の本質的伝導特性の非接触定量評価
Project/Area Number |
06J09030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小泉 美子 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | オリゴフルオレン / ラジカル / γ線重合 / 解離性電子付着 |
Research Abstract |
本年度は、研究実施計画の中でも主に、分子の合成方法そのものに着目した。発達したπ電子系を主鎖に有する分子の合成には、多くの場合、金属触媒を用いた塩基存在下でのハロゲン化アリルのカップリング反応が用いられる。また、オリゴマーの合成のためには多層多段階の反応が必要であり、最適な反応環境に要求される条件も厳しい。 そこで、これら多層多段階(multi step-multi layer)有機合成に対し、本研究では金属触媒を用いずに単一層での簡便かつ新規な反応系(one step-one pod)の構築を目的とし、凝縮系におけるγ線照射による解離陸電子付着反応を利用したハロゲン化フルオレンのカップリング反応を試みた。対象化合物としては、2,7-dibromo-9,9'-dihexyl-fluorene(DHF-Br_2)を用いた。DHF-Br_2に含まれるハロゲン元素は電子親和力が大きい為に電子付着が起こりやすく、また電子ドナーとしては電子を放出しやすい非共有電子対を持つアミンを用いた。 実験として、DHF-Br_2を様々な溶媒に溶解し、5分間のArバブリング、もしくは脱気下封管したサンプルにγ線を27-430kGy照射した。照射後溶液の上澄みを取り、Benzeneに希釈し、吸収と発光スペクトルの測定を行った。生成物の同定に、1HNMRやGPC測定、質量分析を用いた。その結果、3量体までの生成が確認され、溶媒にPyridineやBenzeneを用いるとオリゴマー生成率が高いことが明らかとなった。また、反応の進行には、DHF-Br_2からの解離したBr-の塩形成が重要であることが明らかとなった。さらに、溶媒のG値を考慮すると、オリゴマー生成反応には解離性電子付着のみでなく、溶媒の励起状態を経由したモノマーラジカルの生成経路の存在が示唆された。
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