2006 Fiscal Year Annual Research Report
超高強度レーザー生成プラズマ中のエネルギー輸送に関するX線分光学的研究
Project/Area Number |
06J09048
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
犬伏 雄一 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レーザー生成プラズマ / エネルギー輸送 / 偏光X線分光 / 電子速度分布診断 |
Research Abstract |
超高強度レーザー生成プラズマ中のエネルギー輸送の物理機構を解明するために,エネルギー輸送媒体である高速電子の速度分布診断は非常に重要であり、偏光X線分光による超高強度レーザー生成プラズマ中の電子速度分布診断についての研究を行った. 実験では,Clをトレーサーとした3層平板ターゲットを用い,表面コートの厚さを変化させて深さ方向に対して空間分解を行った.得られたCl-Heα線の発光強度から偏光度を導出すると,表面コートの厚さが0.06μmの場合は-0.07,0.1μmの場合は0.10,0.16μmの場合は0.32となった.これらの偏光度から,ターゲット表面ではパンケーキ型速度分布,内部では葉巻型速度分布となっていることが明らかとなった.パンケーキ型速度分布を生じる原因はレーザー電場により振動する電子であると考えられる.葉巻型速度分布を生じる原因は,共鳴吸収により加速された電子であると考えられる. 実験結果について更に詳細な解析を行うために3次元電子速度分布を取り扱う偏光分光モデルの開発を行った.レーザー生成プラズマでは電子速度分布はレーザー電場の影響を受け,3次元的な速度分布となる.アラインメント生成を厳密に取り扱うためには3次元速度分布を取り扱うモデルが必要であり,このモデルの開発を行った.開発されたモデルと,2D PICシミュレーションから得られた3次元電子速度分布を用いて偏光度を導出した.その結果,偏光度はターゲット表面では低く,内部の高密度領域では高くなっており,実験と定性的に一致していた.爆縮コアプラズマ等の高密度プラズマにおける偏光分光解析を行う際には,ここで開発した3次元偏光分光モデルと衝突輻射モデルを組み合わせ,原子過程を厳密にとり扱わなければならないことを示した.
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