2007 Fiscal Year Annual Research Report
自由と治安の対立関係からみた大正デモクラシー期の政治思想
Project/Area Number |
06J09078
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺田 晋 Osaka University, 人間科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 近代性 / 公共圏 / 世論 / 成員資格 / 群衆 / 群衆心理 / 大正デモクラシー |
Research Abstract |
本研究は近代化がもたらす正統性の危機という観点から、いわゆる大正デモクラシー期の日本の政治思想を再検討することとを目的としている。本年度の研究計画では、政治思想における理論面の検討の完成と、資料の収集を行う予定だった。このうち理論面での検討に関しては、木前利秋(大阪大学教授)氏が研究代表をつとめるシティズンシップ研究会編集の書籍において、近代の国民国家における成員資格の問題についての考察としてまとめることができた。本書は来年度に公刊予定である。一方、資料に関しては、国立国会図書館および大阪府立中央図書館を中心に収集につとめた。収穫であったのは、これまで注目されてこなかった社会心理学者の佐原六郎による世論についての論文を発見したことである。大正デモクラシー期に群衆暴動の多発とともに広まった群衆心理言説の実態を明らかにすることは、本研究の目的のひとつだったが、佐原の1920年代の論文は群衆心理言説を批判的に検討したもので、当時としてはめずらしいものである。この論文の内容の詳しい分析に関しては来年度以降にまとめて発表したい。また、前年度までの段階での歴史研究の面での成果は、2008年3月1日の「若手研究者によるフォーラム 第二回 イメージ(論)の臨界 ミュトスとロゴスの間」において、群衆暴動とそれに引き続くコミュニケーションの制度化という観点から、ひとつにまとめて報告することができた。
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Research Products
(1 results)