2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J09086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大崎 基史 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超分子科学 / 高分子科学 / シクロデキストリン / ラクトン / ラクチド / 開環重合 / ポリエステル |
Research Abstract |
これまでに、ポリエステルの原料であるラクトン・ラクチド(環状エステル)を水溶液中でシクロデキストリン(CD)と混合すると、環状エステルの加水分解反応が促進されることを明らかとしてきた。さらに、水などの溶媒を用いず、CDと環状エステルを混合し加熱するだけで、環状エステルがCDに取り込まれて反応し、ポリエステルが生成することを見出した。その際、CDは環状エステルに対して高い反応選択性を有していた。生成したポリマーは片方の末端にCDを有した珍しい化合物であることがわかった。その生長反応の際は、ポリマー鎖の末端のCDが新たな環状エステルを取り込み、ポリマー鎖とその末端のCDとの間にモノマーが挿入されることによって、ポリマー鎖が生長していることを見出した。興味深いことに、生長するポリマー鎖は無数のCDによって包接された超分子構造「ポリロタキサン」を形成していることが分かった。ポリマー鎖を包接するCDを除いてポリロタキサンを乖離させたときには、ポリマー鎖の生長反応は進行しないが、再度CDを加えてポリロタキサンとすることで、重合反応が進行した。これらの結果から、ポリロタキサン構造の形成が重合反応に大変重要であることを見出した。このCDと環状エステルより得られた高分子は、「鎖状分子が化学反応によって伸びるポリロタキサン」である。この超分子構造体は、世界に先駆ける新規な超分子錯体触媒であり、ナノ材料・触媒としての応用が期待される。
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Research Products
(13 results)