2006 Fiscal Year Annual Research Report
セントロメア領域の複製機能解析-生命現象の統一理解を目指して-
Project/Area Number |
06J09096
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 眞理 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘテロクロマチン / セントロメア / Swi6 / DDK / DNA複製 |
Research Abstract |
染色体DNAの複製は、DNA分子を倍加する反応に留まらず、その他の様々な染色体維持機構と共役しながら進行するダイナミックなプロセスである。染色体分配や染色体の恒常性を保つ上で非常に重要な機能を担っているセントロメアやテロメアなどのヘテロクロマチン領域の複製制御様式は、染色体構造・機能と複製との関係を探る対象として非常に興味深い。平成18年度に我々が報告した論文の中で、分裂酵母の染色体上に存在する3つのヘテロクロマチン領域であるセントロメア、MATおよびテロメアのうちセントロメアとMATはS期初期に複製をするのに対し、テロメアはS期の後期に複製をすることを報告した。この結果を受けて、セントロメアの複製をS期初期に制御するメカニズムがセントロメアの機能や構造とどのように関連するのかに着目し研究を進めている。 これまでにヘテロクロマチン領域に局在するSwi6をコードする遺伝子を破壊した株を用いた解析から、Swi6非存在下ではセントロメアヘテロクロマチン領域特異的に複製タイミングが遅延することを発見した。複製中間体を物理的に検出したところ、swi6破壊株ではこの領域でのS期初期の複製開始頻度が低下していることが明らかになった。さらにChlP法を用いた解析から、この株ではORC、MCMのセントロメア局在は保たれているが、Sld3、RPAのセントロメア局在に欠損を示すことが確認され、セントロメアではpre-RC形成以降の複製反応がSwi6依存的に進行していることが示唆された。一方我々の研究室の解析から、Sld3の局在には複製制御因子DDKが必要であることが示されている。おもしろいことにSwi6とDDKは物理的に相互作用をすることが報告されていたため、Swi6による制御はこの相互作用に起因することが予想された。そこでSwi6との結合に欠損がみられるDDKの変異株であるdfp1ΔC株を用いて解析を行った。その結果この株では、Swi6のセントロメア結合は保待されているものの、これらの領域特異的に複製が遅延することが明らかになった。現在はこの制御機構の分子メカニズムの解明を目指してさらなる解析を行っている。
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Research Products
(3 results)