2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J09099
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前川 絵美 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 炭酸ガス / 蚊 / 標的認識 / 概日リズム / 誘引要素 |
Research Abstract |
本研究では蚊にとっての誘引要素のひとつとして考えられているCO_2に焦点を当て、CO_2非感受性蚊を作出することを目指している。またこれは同時にCO_2センサーの同定をおこなうことを意味する。まず、蚊の標的認識行動を詳細に観察するため、CO_2刺激によって惹起される標的認識行動をモニタリングする装置の作製を行った。この装置をもちいて観察できる蚊の行動をCO_2-activated thermo sensing (CATS)行動と呼ぶ。まず初めに、ハマダラカCATS行動が概日リズムによって支配されているか否かの実験を行った。ほとんど全ての生物は体内に「概日時計」を有しており、代謝や行動などの多様な生理現象がこの時計に支配されて約1日周期の「概日リズム」を示す。夜になると宿主を認識して吸血行動をするという蚊の特徴から考えると、この行動パターンに何らかの形で概日時計が関わっていると推測された。ハマダラカ(Anopheles stephensi)のCATS行動を調べたところ、メスのCATS行動は夜間の特定の時間帯に最も高くなり、約24時間周期で規則的なリズムを示すことを明らかにした。これは蚊の吸血行動のみならず、CATS行動機構自体も概日時計出力系に含まれる可能性を示している。概日時計の基本的な分子骨格として、転写・翻訳を介した負のフィードバックループの関与が明らかになっている。明暗条件(LD)で概日リズムを示す出力系は、全暗条件(DD)にしてもそのリズムを維持する。同調因子である光刺激が常に与えられた状態(全明条件(LL))では、このフィードバックループが正常に作動せず、概日時計で制御された出力系はリズムを失う。そこで、光周性(LD・DD・LL)に着目してハマダラカの行動を詳細に解析し、CATS行動が概日リズムによって制御されていることを示唆する結果を得た。
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Research Products
(2 results)