2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J09099
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前川 絵美 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 炭酸ガス / 蚊 / 標的認識 |
Research Abstract |
私は、標的側ではなくベクター側に目を向け、ある単一要素Xだけを認識することができないベクターを作り出し、この蚊が実際の標的を認識できるかを評価することで、ベクターの標的認識に物質Xが必要か否かを示すことを考えた。本研究では、誘引要素のひとつとして考えられているCO_2に焦点を当て、CO_2非感受性蚊を作出することを目指している。またこれは同時にCO_2センサーの同定をおこなうことを意味する。 これまでの研究から、蚊の小顎髭という器官がCO_2を感受しうることがわかっており、さらにそこに局在するcapitate pegと呼ばれる感覚子が、CO_2感受性であることが電気生理学的に示されている。私が実験に用いるハマダラカ(Anopheles stephensi)のcapitate pegの数を調べたところ、オスよりもメスの方が顕著に多いことがわかった。また、私が構築したCO_2依存性行動アッセイ系を用いてCO_2感受性行動を雌雄のハマダラカで比較したところ、メスは顕著なCO_2感受性行動を示すのに対し、オスと小顎髭を切断したメスはほとんど示さないことがわかった。これらのことから、CO_2センサーはメスの小顎髭においてより多く発現しているという仮説を立て、これまでにAsAE3という候補遺伝子の同定に成功している。 現在、候補遺伝子をRNAiにより恒常的にノックダウンしたトランスジェニックハマダラカを作製中である。ノックダウンしたハマダラカはCO_2非感受性であるのか、さらにはCO_2非感受性蚊がヒトやマウスといった実際の標的を認識することができるのかを今後明らかにしたいと考えている。
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