2006 Fiscal Year Annual Research Report
フランボイダル磁鉄鉱の再現実験と炭素質隕石の原材料物質・水質変成条件の探求
Project/Area Number |
06J09105
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 敬介 大阪大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 非晶質珪酸塩 |
Research Abstract |
始原的な太陽系物質であるCI隕石中の磁鉄鉱はフランボイダルと呼ばれる特有な形状を持つが、実験で再現された報告はない。本研究の目的はフランボイダル磁鉄鉱を再現することである。出発珪酸塩物質を分子雲ダストモデルである非晶質珪酸塩とすることで「CI隕石は、非晶質珪酸塩物質の水質変成によって形成された」という作業仮説を肯定し、太陽系形成初期における始原的固体の物質進化過程を明らかにする。定量的な合成条件から隕石母天体での物質の水質変成条件を評価する。また、炭素質隕石の化学グループが変成環境条件の違いによるものなのか、あるいは出発物質の違いによるものなのかについての知見を得る。 本年度はゾルゲル法を用いて作製した各非晶質珪酸塩のキャラクタリゼーションを放射光粉末X線回折、透過型電子顕微鏡、赤外分光などを用いて行った。また、急冷ガラスなどの異なる製法による非晶質珪酸塩を作製した。水質変成実験の予備実験として非晶質珪酸塩の純水中、アンモニア水中での変質実験を行い、その結果として、未だ予察的ではあるが、過去に報告の無いカルシウム炭酸塩(方解石)の結晶化が見られた。方解石はコンドライト隕石でもグループによって存在の有無に違いがあり、本研究の目的のひとつである「炭素質隕石の化学グループが変成環境条件の違いによるものなのか、あるいは出発物質の違いによるものなのか」という問いに答えることのできる可能性がある。本年度はフランボイダル磁鉄鉱の合成には成功していないが、コンドライト隕石の水質変成環境を推定する際の指標鉱物として、方解石と磁鉄鉱とを考えられることがわかった点で大きな進歩である。
|