2008 Fiscal Year Annual Research Report
フランボイダル滋鉄鉱の再現実験と炭素質隕石の原材料物質・水質変成条件の探求
Project/Area Number |
06J09105
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 敬介 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 非晶質珪酸塩 / コンドライト / 水質変成 / 磁鉄鉱 / フランボイド |
Research Abstract |
始原的な太陽系物質であるCI隕石中の磁鉄鉱はフランボイダルと呼ばれる特有な形状を持つが,実験で再現された報告はない.本研究の目的はフランボイダル磁鉄鉱を再現することである.出発珪酸塩物質を分子雲ダストモデルである非晶質珪酸塩とすることで,「CI隕石は、非晶質珪酸塩物質の水質変成によって形成された」という作業仮説を肯定し,太陽系形成初期における始原的固体の物質進化過程を明らかにする.定量的な合成条件から隕石母天体での物質の水質変成条件を評価する.また、炭素質隕石の化学グループが変成環境条件の違いによるものなのか,あるいは出発物質の違いによるものなのかについての知見を得る. 本年度はゾルゲル法を用いて化学組成をさまざまに変化させた非晶質珪酸塩を作製し,粉末X線回折,電界放出型走査型電子顕微鏡,赤外線吸収分光などを用いてキャラクタリゼーションを行った.また,高周波誘導熱プラズマ法による非晶質珪酸塩を作製した.水質変成実験として非晶質珪酸塩の純水中,アンモニア水中での変質実験を行い,その結果として,過去に報告の無いカルシウム炭酸塩(方解石)の結晶化が見られた.また,サポー石から蛇紋石への層状珪酸塩の進化過程を議論し,そのTTT(time-temperature-transformation)図を作成することができた.方解石や層状珪酸塩はコンドライト隕石のグループ間で見られる鉱物組み合わせが異なることから,本研究の目的のひとつである「炭素質隕石の化学グループが変成環境条件の違いによるものなのか,あるいは出発物質の違いによるものなのか」という問いに答えることのできる有力な指標となる.また,研究課題であるフランボイダル状の磁鉄鉱の合成には至らなかったが,非常に小さいサイズの磁鉄鉱の合成に成功した.それらがフランボイダル状に集積する過程から,コンドライト隕石の水質変成環境を制限できる可能性が示唆される.
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Research Products
(14 results)