2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J09115
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植田 尚子 Osaka University, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ホメオスタティック増殖 / CD8+細胞 |
Research Abstract |
私はこれまでに、NKT細胞がT細胞のホメオスタティック増殖にどのような影響を与えているかを検討するために、α-GalCerを用いてNKT細胞を活性化させ、T細胞のホメオスタティック増殖の変化を調べてきた。その結果、α-GalCerを投与することでCD8+細胞のホメオスタティック増殖が促進することが分かり、この現象にはIL-4が直接関与していることを明らかにしてきた(Ueda.et.al.Int.Immunol.18:1397-1404,2006.Aug16)。 本年度は、さらに分子レベルで記憶CD8+T細胞の維持のメカニズムを明らかに目的で、化学変異原であるENU(エチルニトロソウレア)をマウスに投与することで点変異導入マウスを作製し、T細胞の記憶・活性化マーカーであるCD44の発現に変化が認められる変異マウスのスクリーニングを行った。その結果、T細胞、特にCD8+T細胞上のCD44が高発現している、ある変異マウス家系が存在することが分かった。この変異マウス家系で認められた、T細胞におけるCD44高発現という表現型は、メンデルの遺伝の法則に従って劣性遺伝することもわかった。また、骨髄移植実験により、造血系の細胞に点変異が入っていることがこの変異マウスの表現型に必要であることが分かった。さらに責任遺伝子の同定を試みたところ、ある遺伝子Xに点変異が認められた。さらに、in vivoにおいて変異マウスの造血系細胞に正常な遺伝子Xを過剰発現させると、変異マウスで認められたCD44高発現は回避できることが分かった。以上の結果より、遺伝子XがT細胞の恒常性の維持に関与していることか明らかとなった。この知見は、T細胞恒常性維持の分子レベルでのメカニズム解明に非常に重要なものであると考えられる。
|
Research Products
(2 results)