2007 Fiscal Year Annual Research Report
光圧ポテンシャルにより分子レベルの秩序構造を制御したJ会合体の作製・配列
Project/Area Number |
06J09148
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 嘉人 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DCI)
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Keywords | J会合体 / 光圧 / 自己組織化 / 分子配列構造制御 / ナノテクノロジー / 非線形光学材料 / 配向制御 / ナノフォトにクス |
Research Abstract |
前年度では、溶液中で自然に析出するJ会合体について光捕捉技術を用いて単一レベルで詳細に調べること、および光捕捉したJ会合体の固定化技術を開発した。本年度では、本研究の主軸となる光圧ポテンシャル下におけるJ会合体の形成について詳細に調べた。その結果、以下の成果が得られた。 1. 光圧ポテンシャルをJ会合体が形成していない溶液に印加し、J会合体が自然析出する濃度より2倍低い濃度溶液でJ会合体の核形成を誘起することに成功した。 2. 光圧ポテンシャルで核形成したJ会合体は、単なる濃度増加によって形成するJ会合体より、高い分子配列秩序性と高い非線形光学特性を示すことを明らかにした。 3. 光圧ポテンシャルで核形成したJ会合体の成長は、集光レーザー光の偏光方向により制御できることを明らかにした。また、そのJ会合体の基板上への固定化にも成功した。 4. 常温常圧では高濃度でもJ会合体を形成しない他の色素分子(零度以下でJ会合体形成)に対しても、光圧ポテンシャルの印加により常温常圧でJ会合体の形成を誘起できることを証明した。 5. これらのメカニズムを、自己会合の熱力学方程式に光圧ポテンシャルの項を組み込み、光圧ポテンシャルの内と外で化学ポテンシャルが熱力学的に平衡であることから理論的に導いた。 本研究成果は、超分子集合構造を有するJ会合体の分子配列およびその配向をサブミクロンスケールの微小領域で正確に制御できるものであり、新しい光科学を創出すると共に、分子集合構造の機能性デバイス等へ応用する際にも極めて重要な手法になると確信している。
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