2008 Fiscal Year Annual Research Report
低毒性の半導体量子ドット蛍光体の合成と高輝度フルカラーデバイスの作製
Project/Area Number |
06J09155
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
野瀬 勝弘 Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 量子ドット / 蛍光体 / I-III-VI_2化合物半導体 / コロイド / CuInS_2 / ナノ結晶 |
Research Abstract |
CuInS_2ナノ結晶の発光機構の解明 ホットソープ法により2.9nmから4.1nmまでの結晶サイズのコロイド状CuInS_2ナノ結晶を合成した。4.1nmのCuInS_2ナノ結晶では、近赤外の波長847nmにブロードな発光が観測された。サイズの減少に伴って、近赤外域の発光は短波長へとシフトし、2.9nmのCuInS_2ナノ結晶では759nmであった。吸収と発光のエネルギー差であるストークスシフトの大きさは600meVと大きいため、発光の起源は、励起子の再結合ではなく欠陥を介したものであった。有限の深さの井戸型ポテンシャルにおける有効質量近似を用いてCuInS_2ナノ結晶の電子と正孔の量子準位のエネルギーのサイズ変化を計算し、得られた各量子準位の計算値と観測された発光エネルギーから、観測された近赤外の発光の起源は、In_<Cu>またはV_Sのドナー準位の電子と価電子帯の量子準位の正孔との再結合に起因したものであることが明らかになった。 ホットソープ法によるCu(In,Ga)S_2ナノ結晶の合成 Cu(In,Ga)S_2ナノ結晶を合成するに当たり、どのように原料を選択すればよいかをCuInS_2ナノ結晶の合成に基づいて検討した。CuInS_2ナノ結晶の合成において、原料として銅のホスファイト錯体とインジウムのアミン錯体を用いた場合には、ウルツ鉱型のCuInS_2ナノ結晶が速度論的に生成し、一方、銅のアミン錯体とインジウムのホスファイト錯体を用いた場合には、熱力学的安定相の閃亜鉛鉱型CuInS_2ナノ結晶が生成することを見出した。この現象は、錯体の結合強度によって成長速度が制御されるという成長機構により説明できた。I族元素の前駆錯体とIII族元素の前駆錯体の結合強度を揃えることが重要であり、硬い酸塩基の概念に基づいて各元素の原料と錯形成剤を選択することが有効であることが分かった。
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Research Products
(11 results)