2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの運動制御に関わる神経回路システムの統合的計算輪モデルの構築
Project/Area Number |
06J09164
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ヨシュカ B. Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 運動制御 / 運動発達 / 再帰型ニューラルネットワーク / ベイズ推定 / 認知発達ロボティクス / 模倣 / スパイキングニューロン / ミラーニューロンシステム |
Research Abstract |
本年度は運動制御に特に関係のある脳の新皮質の処理とその計算モデルについての調査を行った.具体的には以下の3つの研究を行った. a)皮質の小型神経回路のモデルとしてエゴーステートネットワークを取り上げた.新皮質の回路網はこれらの安定境界で作用することが知られており、これが脳内の情報処理に有利であるということも示唆されている.そのため,エコーステートネットワークの安定境界での情報処理能力を分析し,ネットワークの効率的な符号化とメモリ容量に関して研究を行う.この問題は基礎的であるが,運動皮質のモデル予測性能を向上するためにも役立つと考えている. b)スパイキングニューロンを用いた再帰型ニューラルネットワークにおけるベイズ統計的な計算処理を詳しく調べた.ベイズ則は人間の脳内の知覚や運動制御の処理で計算に利用されているようである.この法則によって脳は,不確かでノイズを含む情報やニューロンの不確かな動作に直面したときにも最適な決定をすることができる。この計算が実際の神経回路でどのように行われているのかを理解することは,ノイズのある感覚情報や空気圧型人工筋肉のような制御の難しいアクチュエータに対しても効果的な運動制御を可能にするより良い脳モデルを実現するのに役立つ。これは現在進行中の研究である. c)人間の脳のミラーニューロンシステムの統計的モデルを調査し始めた.ミラーシステムは模倣の能力に対して重要であり,それは運動制御を認知へと結び付ける.模倣はヒューマノイドに新たな運動や概念を教示するのに重要な方法である.しかし,運動制御と認知の間の依存関係については明らかでない.そこでロボットの運動の発達が観察された他者の行動から目標を推測する能力にどのような影響を与えるのか.また逆にそのような推測能力がロボットの運動発達にどのような影響を与えるのかを統計的な視点から調査している.
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Research Products
(2 results)