2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの運動制御に関わる神経回路システムの統合的計算論モデルの構築
Project/Area Number |
06J09164
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ヨシュカ B Osaka University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 再帰型ニューラルネットワーク / レザヴァーコンピューティング / スパイキングニューロン / 運動制御 / 運動発達 / 認知発達ロボティクス / カオスの縁 / ネットワークの臨界性 |
Research Abstract |
本年度において申請者は運動学習において各運動に対する内部モデル構築するために重要な役割を果たす小脳の神経回路モデルであるエコーステートネットワークの特性について数学的に調査した.エコーステートネットワークを用いて学習を行う場合,学習する内容に応じてネットワークの初期状態や動特性を調整しなければならない.これは2足移動の発達的獲得といった様々な運動を学習する場合にはロボット自身が自律的に調整する必要がある.申請者はこれらを自律的に調整するための従来手法について,短期記憶容量,非線形データの学習能力や予測性能の面から分析した.その結果として申請者は既存の学習側の問題点を明らかにし,動特性の自律的調整のための新たな学習則を2つ提案した.これらは脳内のニューロンは疎な結合を持つという知見に基づいており,1つはそのような結合になるようにネットワーク全体として評価し修正する全体的な学習則,もう1つは各ニューロンの結合自体を修正する局所的な学習則である.特に局所的な学習則は従来の学習則に比べてネットワークの記憶容量を改善する非常に有用な学習則であった.これらの学習則によって本研究の目的である運動制御と学習に対する統合的モデルとして小脳のモデル化に大きく近づいた.また,申請者は統合的モデル築へむけて強化を用いて運動学習のための報酬予測などを行う大脳基底核のモデル構築にも取り掛かった.その結果,申請者が提案した小脳モデルを利用することで強化学習を用いたより高速な運動学習が可能であることやすでに学習した内部モデルに基づいて新たな環境での運動学習を促進することができることを考察した.これらは運動制御と学習の統合的計算論モデル構築に向けて小脳モデルと大脳基底核モデルを統合した場合にどのような効果や問題点があるかを考察するために非常に有意義であった。
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Research Products
(2 results)