2006 Fiscal Year Annual Research Report
直線状多核金属錯体の特異反応性を活かした高次構造構築
Project/Area Number |
06J09172
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島 明日香 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 直線状多核錯体 / 酸化的付加反応 / 異種金属 / X線結晶構造解析 / 架橋多座配位子 / モリブデン / イリジウム / 金属-金属結合 |
Research Abstract |
MoとIrとからなる直線状四核錯体[Mo_2Ir_2(RNC)_4(pyphos)_4](CL)_2(1,R=^tBu, Xy1;pyphos=6-diphenylphosphino-2-pyridonate)に対する有機ハロゲン化物の酸化的付加反応を検討した。このうち、錯体1に対するヨウ化メチル及びヨウ素分子の酸化的付加反応で得られた生成物に関してはX線構造解析を行い、その構造決定に成功した。これにより、分光測定で示唆されたようにIrの一電子酸化によってMo-lr結合の生成とMo-Mo結合の次数の低下が起き、全ての中心金属が金属-金属結合で連なることが明らかとなった。更に、その電子状態を詳しく検討するため、得られたX線構造解析の結果を基にDFT計算を合わせて行った。なお、上記反応についてまとめた論文は、現在査読中である。また、2つのハロゲン原子がそれぞれ結合したニハロゲン錯体[Mo_2Ir_2(X)(RNC)_4(pyphos)_4](Cl)_2(2,X=Cl, Br, I)を用いて、Ir上に共役系分子を導入することを検討した。有機リチウムでは目的とする錯体は得られなかったものの、有機銅試薬を用いた反応で得られた生成物は、共役系分子による錯体2中のハロゲン原子の置換を示唆するスペクトルを与えた。本反応の生成物の詳しい構造決定は、現在進行中である。更に、中心金属周りの立体的嵩高さを軽減し、四核錯体の集積化をより容易にするため、MoとPdとからなる四核錯体[Mo_2Pd_2(pyphos)_4(3)の合成を行った。錯体3は配位不飽和なPdを有することから、錯体1とは異なる反応性を示すことが期待される。現在、錯体3に対する有機ハロゲン化物の反応を検討すると共に、その結果をまとめた論文を作成中である。今後は、この反応で得られた生成物の構造決定と併せて、2種類の四核錯体を用いた集積化を検討していく計画である。
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