2008 Fiscal Year Annual Research Report
直線状多核金属錯体の特異反応性を活かした高次構造構築
Project/Area Number |
06J09172
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島 明日香 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 直線状多核錯体 / 金属-金属結合 / イリジウム / モリブデン / パラジウム / X線結晶構造解析 / 両座配位子の導入 / 酸化反応 |
Research Abstract |
本年度は、異種金属からなる直線状四核錯体の基礎的性質の解明として、MoとPdとからなる四核錯体Mo_2Pd_2(pyphos)_4(1)(pyphos=6-diphenylphosphino-2-pyridonate)を合成し、1に対する種々のドナー性配位子の反応、試薬酸化及び有機ハロゲン化物の酸化的付加反応を検討した。その中で、酸化反応がPd…Mo-Mo…Pdの金属骨格を介した電子移動によって進行することを明らかにすると共に、各反応についての詳細をfull paperとしてまとめてInorganic Chemistry誌に発表した。また、四核構造を連結して高次構造を構築するため、中心金属の両末端に両座配位子を導入することを企図した。特に、MoおよびIrを有する四核錯体[Mo_2Ir_2(^tBuNC)_4(pyphos)_4](C1)_2(2)については、両座配位子存在下フェリシニウムカチオンによる試薬酸化を行うことで、Mo-Ir間に新たな金属-金属結合を形成すると共に、両座配位子を中心金属の両端に導入することに成功した。このことは、分光測定及び最終的にはX線構造解析から明らかとした。両座配位子にはSCN,CN,およびN_3基の導入にそれぞれ成功し、[Mo_2Ir_2(L)_2(^tBuNC)_4(pyphos)_4](BPh_4)_2(3:L=SCN,3:L=CN,3:L=N_3)を得ている。いずれの場合も末端のN部位がフリーで存在することから、これら得られた錯体を適当な化合物に作用させることで、段階的な四核錯体の集積化が可能になると考えている。
|
Research Products
(3 results)