2007 Fiscal Year Annual Research Report
マウスSox2の遺伝子操作にもとづいた前部神経板成立機構の研究
Project/Area Number |
06J09193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩渕 真木子 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Sox2遺伝子 / 発生生物学 / エンハンサー解析 / ノックアウトマウス / 神経板 / 細胞分化 |
Research Abstract |
中枢神経系の原基である神経板が、どのようなしくみで前部特性とともに形成されるのか。この問題を明らかにするために、Sox2遺伝子の発現制御機構と、SOX2の前部神経板成立における機能を解析した。Sox2遺伝子の制御領域の中でも、未分化外胚葉から前部神経板でのSox2遺伝子の発現を制御するエンハンサーN-2を利用して解析を行った。 1,未分化外胚葉から前部神経板への分化を特長づけるSox2遺伝子発現制御の転換 前年度までに、前部神経板においてSox2遺伝子を発現させる転写因子、Otx2、POUファミリー因子のBrn2を同定した。今年度は、ES細胞を用いて、未分化状態においてSox2遺伝子を発現させる転写因子を探索した。ES細胞における、エンハンサーN-2への変異解析や予想結合因子の強制発現の結果から、POUファミリー因子であるOct3/4がSox2遺伝子発現制御に関わることを明らかにした。以上の結果から、未分化外胚葉と前部神経板それぞれを特徴付ける主要な転写因子を同定することができた。 2,エンハンサーN-2を欠失させたノックアウトマウスの作製 エンハンサーN-2が活性を担うSOX2が、神経板の形成にどのような役割を果たすのか明らかにするために、エンハンサーN-2を欠失したノックアウトマウスを作製した。このマウス胚において、未分化外胚葉や前部神経板でのSox2遺伝子の発現は失われたが、顕著な表現型は示さなかった。SOX2と発現領域が重複しているSOX3が機能を補っている可能性が考えられたため、エンハンサーN-2とSox3の両方を欠失させたマウスを作製した。このダブルマウスは、前部の中枢神経系に異常がみられた。本研究により、グループB1SOX因子の神経板形成における重要性を明らかにすることができた。
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