2007 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療への応用を目指したDNA内電荷分離を介した光増感DNA酸化損傷機構の解明
Project/Area Number |
06J09217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小阪田 泰子 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA / ナノ構造体 / スティッキーエンド / 光増感剤 / 電荷移動 / 過渡吸収 / DNAタイル / DNAアッセンブリー |
Research Abstract |
DNAナノアッセンブリー(構造体)は、DNAタイル同士がスティッキーエンドにより連結されることで構成される。これまでに、数多くのDNAナノ構造体が構築されてきたが、その構造体中の電荷移動に関する研究はほとんど行われていない。これまでに我々は、DNA中の電荷移動を直接観測することで、スティッキーエンドにより構成されたDNAナノ構造体中で電荷移動が起こることを明らかにした。本年度は、このDNAナノ構造体中の電荷移動に対して、スティッキーエンドの連結部分がどのような影響を及ぼしているかについて検討した。 光増感剤ナフタルイミド(NI)と正電荷のアクセプターとしてフェノチアジンを用いて、様々な配列や構造を有するスティッキーエンドにより構成されたDNAナノ構造体中の電荷移動を調べたところ、DNAナノ構造体中での電荷移動は、スティッキーエンドの連結部分により阻害されることなく進行し、さらにスティッキーエンドの配列の相補性が重要であることが明らかとなった。 また、ミスマッチ塩基を有するDNAでの電荷移動の速度は、大きく減少することが見出されたが、その電荷移動の速度に関しては明らかではなかった。そこで本年度は、ミスマッチ配列を有するDNAでの電荷移動の速度に関して詳細に調べた。さらに、DNAの両末端に光増感剤であるNIと電荷アクセプターのPTZを修飾したDNAを合成し、ナノ秒レーザー過渡吸収測定により、上記で得られた電荷移動の速度をもとに、正常遺伝子と、一塩基多型(SNP)遺伝子を判別することを試み、電荷移動の速度に基づくSNPタイピングについての知見を得た。
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