2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療への応用を目指したDNA内電荷分離を介した光増感DNA酸化損傷機構の解明
Project/Area Number |
06J09217
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小阪田 泰子 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | DNA / ナノテクノロジー / 電荷移動 / 光増感剤 / ナノ構造体 / スティッキーエンド / ミスマッチ / 速度 |
Research Abstract |
ナノ構造体の構築において、その構成単位のブロックとして自己組織化能を有するDNAを使うことが試みられているが、そのDNAブロックにより構成された2本鎖DNA(DNAナノ構造体)中での光誘起電荷移動に関する研究はほとんど行われていない。G間の電荷移動がより高速に起こる配列やDNAナノ構造体においてもG間の電荷移動が進行するかどうかを調べれば、DNAナノ構造体によるDNAナノワイヤー作成への指針が得られると考えた。これまでに我々は、そのDNAナノ構造体中の電荷移動に関する研究を行い、スティッキーエンドにより構成されたDNAナノ構造体中でも電荷移動が起こることを明らかにした。本年度は、このDNAナノ構造体中の電荷移動に対して、スティッキーエンドの連結部分がどのような影響を及ぼしているかについて詳細に検討した。 光増感剤ナフタルイミド(NI)と正電荷のアクセプターとしてフェノチアジンを用いて、様々な配列や構造を有するスティッキーエンドにより構成されたDNAナノ構造体中の電荷移動を調べたところ、DNAナノ構造体中での電荷移動は、スティッキーエンドの連結部分により阻害されることなく進行し、さらにスティッキーエンドの配列の相補性が重要であることが明らかとなった。 また、ミスマッチ塩基を有するDNAでの電荷移動速度は、大きく減少することが見出されたが、その電荷移動速度に関しては明らかではなかった。そこで本年度は、様々なミスマッチ配列を有するDNA中の電荷移動速度を測定し、ミスマッチDNAでの電荷移動について明らかにした。
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