2008 Fiscal Year Annual Research Report
単一分子蛍光法を用いた光機能化カーボンナノチューブの評価とバイオセンサーへの応用
Project/Area Number |
06J09223
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
内藤 一也 Osaka University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 単一分子 / 蛍光 / ナノチューブ / 一分子検出 / 酸化チタン / 多孔質材料 / カーボンナノチューブ / バイオセンサー |
Research Abstract |
ゾルゲル・テンプレート法により合成したチタニアナノチューブ(TNT)はナノスケールの細孔を利用した効率的な光触媒反応が可能であり、これまで多くの研究がなされてきた。しかしながら、本手法により合成されたTNTの光触媒活性は、表面積から期待されるほどには高くないことが知られている。これは、試料の不均一性(チューブ、薄膜、粒子などが混在)に起因していると考えられ、通常のバルク溶液による測定法ではこれら種々の構造を持ったチタニアの集団としての平均の光触媒活性を知ることしかできない。このため、ナノスケールの細孔内に特異的な反応機構は表に現れ難く、理想的には単一チューブレベルでの光触媒活性の検出が望まれる。 本研究では、単一分子蛍光法を用い、UV照射された単一のTNT内に生成するヒドロキシルラジカル(^・OH)を蛍光プローブにより単一分子レベル、かつリアルタイムで検出することで、光触媒活性と多孔質構造(マクロ孔およびメソ孔)との関係を単一チューブレベルで明らかにした。その結果、マクロ孔はメソ孔よりも約一桁高い光触媒活性を示した。これは、細孔構造におけるROS濃度の蓄積よりも基質分子の拡散過程の寄与が大きいことを意味しており、光触媒活性における分子拡散の重要性を示している。すなわち、分子拡散が光触媒活性の支配因子であることを明らかにした。 本研究で示された、単一分子蛍光分光法を用いた単一チューブにおける反応活性サイトの直接観測は、カーボンナノチューブなどのナノ材料を生体中のバイオセンサーとして応用する上で、非常に重要な知見である。
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Research Products
(4 results)