2006 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症における自己理解及び社会的認知の発達メカニズムの解明と療育システムの開発
Project/Area Number |
06J09243
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊池 哲平 九州大学, 人間環境研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発達障害 / 自閉症 / ダウン症 / コミュニケーション / 情動 / 表情 / 発達 / 保護者支援 |
Research Abstract |
本年度は主に自閉症及びダウン症児に関する対人的行動の発達プロセスを検討するための基礎的データを収集し、分析を行った。特に1歳半から3歳頃までの対人的行動として主に社会的模倣及び指さしの出現についてのデータを自閉症及びダウン症児と比較し、その結果、自閉症児は指さし行動の中でも叙述的機能を持つ指さし行動の出現が遅れること、ダウン症児は社会的模倣をいち早く獲得することを示した。これらの知見は九州大学総合臨床心理センター紀要に掲載される予定である。 また自閉症障害児者の情動表出の分析として表情の動きをFACSを参考にして分析した。その結果、自閉症障害児者の表情は口角を中心にした口の動きが大きく眼倫筋を中心とした眼の形は大きく動かないことが示された。これらの知見は日本心理学会第70回大会にて報告した。 また乳幼児期の保護者への対応として療育担当者に対する不安やニーズなどについてアンケート調査を行った。それによると保護者は療育担当者に対して当初1歳から2歳程度までは専門家的立場からの対応を希望するが、3歳頃になると徐々に保護者自らが共同治療者としての立場に立ちはじめ、療育担当者に対して対等な立場からの発達の見通しについての説明を望むようになることが示された(特殊教育学会にて報告)。 さらに、日本特殊教育学会第44回大会及び日本心理学会第70回大会においてシンポジウムを開催し、話題提供を行った。シンポジウムでは奈良女子大学麻生武氏、村田クリニック村田豊久氏、静岡大学香野毅氏らと発達障害児及び定型発達に関するコミュニケーション行動についてディスカッションを行った。 加えて久留米市立幼児教育研究所及び九州大学総合臨床心理センターでの臨床実践行動として発達障害児への相談業務を行った。
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Research Products
(3 results)