2006 Fiscal Year Annual Research Report
Volterraの原理を満たさない生態系の力学系モデルのパーマネンスの研究
Project/Area Number |
06J09289
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
今 隆助 九州大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | パーマネンス / 平均リアプノフ関数 / コルモゴロフ方程式 / レスリー行列モデル |
Research Abstract |
解の長時間平均が平衡点の値に一致しない生態系モデルに焦点を当てて以下の研究を行った: 1.共存平衡点を持つにもかかわらず,初期値によって絶滅が起こる具体的な生態系モデルについては,すでにいくつかの具体例が知られている.そこで,今回は共存平衡点が存在しないにもかかわらず共存が起こるモデルに焦点を当てた.その結果,2種競争系のLotka-Volterra差分方程式の成長率関数の対数が線形から非線形になるようにある摂動を与えると,概パーマネンスの意味で共存平衡点がなくても2種の共存が起こりえることが分かった.つまり,摂動の種類によっては,共存平衡点がなくても,ほとんど全ての第一象限の解軌道が第一象限内部のコンパクト集合に吸引されることが分かった.この結果は第16回数理生物学会大会において発表した. 2.一回繁殖戦略型のn齢構造化モデルはある特殊なn種系のKolmogorov方程式に帰着する.本研究は,平均リアプノフ関数を使い座標軸がリペラーになるための条件とアトラクターになるための条件を与えた.また,座標軸がリペラーであっても座標面上にアトラクターが存在しえる数値例を与えた.3.内部構造を持つ単一種の個体群動態を記述するモデルがパーマネンスになるための条件を与えた.モデルの性質上,非負鐘境界上の最大の不変コンパクト集合は原点のみであるので,パーマネンスの条件はモデルの成長率関数等に依存せず,原点の安定性のみに依存することが分かった.結果はJapan Journal of Industrial and Applied Mathematics誌に掲載予定.
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