2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経ホルモンによるサケの産卵回遊およびマウスの春期発動制御の比較分子内分泌学
Project/Area Number |
06J09320
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小沼 健 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | シロザケ / 産卵回遊 / ホルモン / mRNA / 性成熟 / 成長 / GnRH / IGF-I |
Research Abstract |
平成19年度は,産卵回遊時のシロザケ脳内におけるGnRH遺伝子の発現変動についてデータ採取を完了した.また母川回帰の開始期に,成長を制御するインスリン様成長因子I(IGF-I)が性成熟の促進と産卵回遊行動の発現に重要な役割を持つことを示した.主な成果を以下に示す. 1) シロザケの凍結脳試料を切り分け,約4000の試料からtotal RNAを抽出し,cDNA合成を完了した.リアルタイムPCR法によりsGnRHおよびcGnRH-IIのmRNA量を測定した.これまでの結果とあわせ,産卵回遊時の脳_下垂体_生殖腺におけるホルモンmRNA量の動態を明らかにした. 2) 6-7月の夏のベーリング海には母川へと回帰する成熟個体と未成熟個体が混在する.成熟個体では,下垂体のゴナドトロピン(GTH)量が未成熟個体の100倍以上に達していた(論文投稿中).一方,脳内のGnRH mRNA量には,成熟度による差は見出せなかった(第32回日本比較内分泌学会で発表). 3) そこでGnRHの遺伝子発現は夏以前に高まると予測し,2月のアラスカ湾のシロザケを調べた.その結果,未熟魚に加えて配偶子形成を開始している個体が見られ,この成熟開始個体では,夏のベーリング海の個体よりGnRH mRNA量が高かった(未発表,投稿準備中). 4) 成長因子IGF-Iの血中量を測定したところ,2月,6-7月とも,成熟魚では未熟魚の2,3倍に達していた.産卵回遊の開始に先立ち血中IGF-I量が上昇することを示した(第32回日本比較内分泌学会で発表). 5) サクラマス下垂体細胞の初代培養系を用いて,IGF-IがGTHの合成と放出に及ぼす効果を調べた結果を公表した(Zoological Science誌).またGTH遺伝子の転写調節因子sFF1およびERaの遺伝子発現に関する結果を公表した(General and Comparative Endocrinology誌).
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Research Products
(6 results)