2007 Fiscal Year Annual Research Report
MAPK経路制御因子Sproutyによる口腔癌の増殖/転移抑制機構の解明
Project/Area Number |
06J09343
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武富 孝治 Kyushu University, 歯学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | MAPK / Sprouty / SQUU-A,B 細胞 / Spred / VEGF-C / MMP9 / ELISA |
Research Abstract |
Sprouty/SpredファミリーはMAPキナーゼによって誘導され、Negative feed-back loop機構により、MAPキナーゼを抑制する制御因子として知られている。前年度の報告で、舌癌の細胞株で非転移株であるSQUU-A細胞と転移株であるSQUU-B細胞における。Sprouty/Spredファミリーの発現を確認し、強制発現系においてMAPKのリン酸化を抑制することを示した。 今年度はSprouty/Spredが転移性株においてVEGF-Cの産生にどのように関与しているか、ELISA法を用いて調べた。またその受容体であるVEGFR-3の下流でどのように制御しているかを調べた。その結果、Spred1を強制発現させたSQUU-B細胞の培養上製中のVEGF-Cの量は通常の培養上製中のものより少なく、逆にDominant negativeなSpred1であるΔC Spred1を発現させた培養上製中のVEGF-Cの量は多かった。またSpred1を強制発現させた細胞株をVEGF-Cで刺激するとMAPKのリン酸化が抑制されることから、Spred1がVEGFR-3の下流でMAPKの活性化を抑制することによりリンパ管新生を抑制していることが示唆された。しかしながら、どの分子と会合してそうした抑制効果を示すかはいまだ不明なので今後生化学的手法を用いて解析する必要があろう。次に浸潤時、腫瘍細胞におけるMMP9の産生をどのように制御しているかを同じくSpred1を強制発現させた細胞株の培養上清をもちいてELISA法により調べた。その結果、Spred1はMMP9の産生も抑制していることが示唆された。 現在、in vivoにおけるSprouty/Spredの腫瘍増殖抑制作用および転移抑制作用を調べるため、感染によるマウス舌への定着を図るためウイルスベクターに組み込んで舌へ直接移植し、癌の形成および転移を観察しようと試みている段階である。 また、転移は各種免疫細胞が産生する種々のサイトカインによる影響をうけることが知られている。このことから、サイトカインによる影響すなわち腫瘍免疫学的観点からもSprouty/Spredの作用を調べる予定でいる。
|