2006 Fiscal Year Annual Research Report
大学生の日常的解離体験に関する心理学的研究-日常的解離のアセスメントの検討-
Project/Area Number |
06J09403
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
舛田 亮太 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日常的解離 / 日常的分割投影 / 日常的離人 / 解離性体験 / 外傷体験 / 解離性同一性障害 / 解離性障害 |
Research Abstract |
本年度は,これまで収集したデータの再分析を行うと共に,新たにデータ収集を行った。その結果、大学生の日常的解離の多次元的側面が明確化され、精神的健康、外傷体験との非直線的な関連性が示唆された。 第1に、大学生325名の過去の質問紙データを再分析した結果、病的な解離性体験より影響は低いものの、日常的解離も精神的健康に否定的影響を及ぼし得ることが示唆された(2006年度国際サイコセラピー会議にて発表)。第2に、大学生230名の過去の質問紙データに、追加調査・実験を行い、計830名の質問紙データを得た。分析の結果、日常的解離尺度は「自動化・没入」「空想性」「感情切替」「没頭・熱狂」の4因子に分岐、また日常的分割投影尺度、日常的離人尺度、解離性体験尺度との関連から、弁別的妥当性が確認された。更に、精神的健康に対し、「感情切替」「没頭・熱狂」は肯定的、「自動化・没入」は否定的、「空想性」はその両方の影響を及ぼすことが示唆された(2007年度日本トラウマティック・ストレス学会にて発表)。一方で、異方法による収束的妥当性も、日常的解離と概念的に関連の深い選択的注意力に着目し、ストループ課題で検討したが、有意な相関は得られなかった(2007年度日本心理学会にて発表予定)。この点は日常的解離尺度項目の増加・改訂と合わせ、次年度課題である。第3に、大学生28名対象の過去の半構造化面接データのうち、承諾を得た調査協力者に追面接調査を行った。現在、ナラティブデータを分析中であり、次年度発表・論文投稿予定である。第4に、55事例の解離同一性障害文献報告をまとめ、近年の国内の解離性同一性障害(DID)において外傷体験が該当しない事例(一時的ストレス型DIDと命名)が増加していることを指摘した(2006年度日本心理臨床学会にて発表)。なお、発表結果は「心理臨床学研究」に資料投稿し、現在審査中である。
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