2006 Fiscal Year Annual Research Report
高容量記録材料を指向したジアリールエテン光スイッチングシステムの開発
Project/Area Number |
06J09421
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
尾堂 結華 九州大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジアリールエテン / フォトクロミズム / 蛍光 / 光スイッチ |
Research Abstract |
ジアリールエテンは、光の作用により可逆にまた安定に異性化反応を示すフォトクロミック分子であり、それら2種類の光異性体は分子構造の違いから開環体および閉環体と呼ばれる。この光スイッチング素子としてのすぐれた性質を持ち合わせているジアリールエテンと高感度な読み出しを達成する蛍光分子を組み合わせた蛍光スイッチングが報告され、単一分子での観測にも成功している。しかしながら、これらの蛍光スイッチングメカニズムは、蛍光励起状態がエネルギーレベルの低い無蛍光性のジアリールエテン閉環体ヘエネルギー移動することにより達成されており、このことにより閉環体から開環体への戻り反応を引き起こすことになり情報が破壊されてしまうという問題点があった。蛍光の非破壊的な読み出しを行うためには、エネルギー移動ではない蛍光クエンチングメカニズムを用いることが必要となる。 本研究では、ジアリールエテンが光開環体/閉環体の前後で酸化還元電位が変化することに着目し、電子移動によって蛍光のスイッチングを行うことを検討し、その目的分子の設計、合成および蛍光スイッチングの観測を行った。ジアリールエテン閉環体の吸収波長を短波長化することにより、エネルギー移動による蛍光クエンチングの回避が達成され、溶媒中において電子移動による蛍光スイッチングが確認された。また、その電子移動能は分子軌道計算によって支持される結果を得ている。この研究により非破壊的な読み出し機能を有するフォトクロミック蛍光スイッチング分子の開発に成功し、その成果はChemistry Letters(2007年,36巻,2号)に報告した。
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Research Products
(2 results)