2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体と類似の毛細血管網を有する再生医療用移植臓器構築手法の開発
Project/Area Number |
06J09432
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武井 孝行 九州大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 毛細血管網 / Tissue engineering / 肝細胞 |
Research Abstract |
【研究背景および目的】 申請者は前年度までに、毛細血管と小口径血管からなる血管ネットワークの開発に取り組み、その基本技術の確立に成功している。本年度は、移植用臓器構築技術の確立に向け、以下の事項を目的とした。 1.血管壁細胞(血管平滑筋細胞、繊維芽細胞)を付与した生体と類似の血管ネットワークを構築する。 2.血管ネットワークに増殖性の臓器細胞を組み込むことで臓器様組織体を創成する。 【得られた成果】 目的1:前年度までに確立した血管ネットワーク構築手法を改良することで、血管壁細胞および血管内皮細胞からなる生体血管と類似の構造を有する小口径血管の構築に成功した。さらに、この小口径血管内壁に剪断刺激(4.0dyn/cm^2)を与えることで、血管壁の組織化がより顕著に促進されることを見出した。また、この小口径血管からの毛細血管の分岐を促すことにより、血管壁細胞を付与した小口径血管と毛細血管からなる生体と類似の血管ネットワークの構築が可能であることを示した。 目的2:コラーゲンゲル内にヒト肝芽腫由来細胞株(Hep G2細胞)と血管ネットワークを配置し、その血管内部に培地を流通させながら培養を行った。その結果、Hep G2細胞は良好に増殖し、かつ肝特異的機能の一つであるアルブミン合成能を発現した。以上のように、血管ネットワークと肝細胞を組み合わせることで、肝臓様組織体を創成することができた。 【今後の研究の展開】 次年度では、上記で構築した肝臓様組織体をマウス肝不全モデルに移植し、その治療効果を検証する計画である(研究計画調書に記載済)。一方、移植組織の生着率を向上させるためには、生体内での移植組織の成熟化を促進することが必要である。そこで次年度ではまず先述の事項を達成するために不可欠な、種々の細胞増殖因子(肝細胞増殖因子など)の徐放担体の開発を行う。
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Research Products
(4 results)