2006 Fiscal Year Annual Research Report
翻訳後修飾酵素の部位特異性を利用した新規タンパク質ハイブリッドの創製
Project/Area Number |
06J09444
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
富永 譲 九州大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | タンパク質工学 / トランスグルタミナーゼ / 部位特異的タンパク質修飾 / リガンド / 競合酵素免疫測定 / DNA / タンパク質の固定化 |
Research Abstract |
タンパク質機能改変のためのタンパク質修飾は、主にタンパク質表面上の官能基に対して有機化学的手法を用いる化学修飾法により行われている。しかしながらこの手法では、タンパク質上の多数の官能基に対してランダムに結合が形成されるため、タンパク質の機能損失を引き起こす恐れがある。 一方、生体触媒の中にはタンパク質を修飾する酵素(翻訳後修飾酵素)が存在する。微生物由来のトランスグルタミナーゼ(MTG)はタンパク質分子中の特定のグルタミン残基とリジン残基を結合する翻訳後修飾酵素の一種である。本研究ではMTGを利用した部位特異的な結合形成を利用するタンパク質ハイブリッドの合成と、得られたタンパク質ハイブリッドの工学的応用を目的として実施したものであり、主な研究成果は以下の通りである。 タンパク質(酵素)へ多数のリガンド分子をラベル化する新手法を開発した。リガンド分子としてトリニトロベンゼンを用い、まずMTG認識部位を有するβ-カゼインに化学修飾法により多数のリガンド分子を導入した。これとMTGの基質ペプチドを導入した酵素を連結することで、酵素に多数のリガンド分子をラベル化することに成功した。この時、ラベル化したリガンド分子の数が多いほど、レセプター分子と強く相互作用することを明らかとした。また、得られた酵素標識リガンドを用い、トリニトロトルエンを競合酵素免疫測定により高感度に検出することに成功した。 タンパク質とDNAを連結する新手法を開発した。まずDNAにMTGが認識可能なグルタミン残基を有するジペプチド基質を結合した。これにより、MTGが認識可能なリジン残基を導入したタンパク質へDNAを導入することに成功した。また、MTGによるラベル化は、タンパク質機能に影響を与えないことを明らかとした。さらに得られたタンパク質-DNAハイブリッドを、マイクロプレート上へ固定化することに成功した。
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Research Products
(3 results)