2006 Fiscal Year Annual Research Report
キャビタンドポルフィリンによる小炭化水素分子の識別と触媒的酸化反応
Project/Area Number |
06J09508
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中澤 順 九州大学, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | キャビタンド / ポルフィリン / 炭化水素 / 包接 / 分子認識 / 分子カプセル |
Research Abstract |
平成18年度の当初目標は、キャビタンドーポルフィリン(H_2CP)カプセルの分子認識分野の研究として、(1)EXSY法を用いてカプセル内外のゲスト交換速度を測定し、ゲストの大きさと交換速度の関係を調べるなど、包接の動的な挙動を明らかにすることと、(2)H_2CPのポルフィリンに、様々な金属を導入した金属錯体(MCP)に関して、金属イオンの大きさ、金属の価数、金属の第五、および第六配位座の反応性などの変化が、炭化水素ゲストの包接に与える影響を調べるとしていた。 (1)についてH_2CPのゲスト交換速度およびゲスト交換における活性化エネルギーをEXSY法により測定した。そして得られたメタン速度定数をこれまでに報告されている例と比較した結果、H_2CPのゲスト交換速度は水素結合で作られた他のカプセルと近い値であった。この成果は国内学会発表において公表し、今後学会誌に投稿を予定している。 (2)に対して、MCPのゲスト包接能に関して、カプセル構造および導入した金属イオンの違いと、ゲストサイズや配位能力の違いなどの関係について単結晶X線構造解析や^1H NMR等により詳細に検討をおこなった。NiやPd錯体では、H_2体とゲスト取り込みの違いはみられなかったが、五配位目を取りうる亜鉛錯体が、配位性のゲストに対して高い親和性を示した。この成果は国際学会発表(ICCP-4)および学会誌(Bull.Chem.Soc.JPn.)において公表した。 加えてH_2CPと近いカプセル構造を有する、水素結合で合成したCA-PyPを新規に合成し、このゲスト包接をH_2CPと比較した。この成果は国内学会発表および学会誌(Org.Lett.)において公表した。 これら分子認識分野の結果は、平成19年度の研究目標のカプセル内に取り込んだ小炭化水素分子の酸化反応において、基礎的な情報として非常に重要なものである。
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Research Products
(2 results)