2007 Fiscal Year Annual Research Report
概日リズム朝夕2つの活動ピークを形成する時計タンパク質PERIOD変異体
Project/Area Number |
06J09514
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
武田 行正 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 概日リズム / ショウジョウバエ / 時計遺伝子 / PERIODタンパク質 / 生物時計 |
Research Abstract |
ショウジョウバエは、一日のうちで朝方と夕方の2回、活動ピーク時期をもつ。ショウジョウバエ脳において、概日時計を司るニューロン群のうち、腹側小ニューロンs-LNvと背側ニューロンLNdが、この朝方と夕方の行動リズムをそれぞれ独立に制御していることが報告されている。これら2種類のニューロン群に時計遺伝子periodのアイソフォームがそれぞれ個別に発現しているかどうか、またこれらアイソフォーム間の発現リズムに相違はあるのかについて研究を行った。 まず、ショウジョウバエPERIODのC端アイソフォームの発現リズム調べるため、そのmRNAおよびタンパク質の発現リズムを、定量的リアルタイムPCRおよびウエスタンブロッティングの手法を用いて詳細に解析した。その結果、これまで知られていたPERIODの発現リズムとは明確に異なる発現リズムが検出された。このことは朝夕の活動ピークをPERIODが作り分ける証拠を示す上で極めて重要な発見である。また、このC端の選択的スプライシングが光感受性の選択的スプライシングであり、すでに報告されていた温度感受性のスプライシングの存在と全く対照的な制御機構であることが提案された。 次に、このような朝方と夕方に発現ピークを示すアイソフォームが、異なる時計ニューロンにそれぞれ発現しているかを同定するため、in situハイブリダイゼーションおよび免疫染色を行った。細胞融合法により、10種類もの新規モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製に成功した。この内ウエスタンブロッティングに使用可能なものは数種類あったが、現在までのところ、これらの抗体を用いた免疫染色において、PERIODアイソフォームの特異的な染色には至っていない。量的に少ないPERIODのアイソフォームを組織学的に同定するためには、さらに高品質な抗体や詳細な条件検討が必要であると考えられた。
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