2006 Fiscal Year Annual Research Report
カイコ個体における相同組換え修復の研究、およびそれに関わる遺伝子群の機能解析
Project/Area Number |
06J09534
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
門 宏明 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 相同組換え / Brca2 / Rad51 / カイコ |
Research Abstract |
本年度は、申請者が以前より既に単離していたBrca2について詳細に解析を行なった。ヒトにおいては、Brca2は乳ガン原因遺伝子の一つであり、相同組換えに関与すると考えられている。まず、yeast two-hybrid systemを用いてカイコにおける相同組換え関連遺伝子の相互作用解析を行った結果、Brca2の一部であるBRC repeatsとC末端領域がRad51と強い結合がみられた。ヒトでは、Brca2のC末端領域がRad51と相互作用することが知られているが、カイコBrca2のC末端領城は他生物との相同性はほとんど見られなかった。さらに、このC末端領域を生化学的に解析した。この領域はRad51の多量体形成を阻害しなかったが、2本鎖DNAと強く結合することが明らかとなった。また、Brca2のC末端領域はRad51とdsDNAの結合の安定化を促進する働きをもっていることが示唆された。 さらに、我々はRad52と非常に相同性の高い遺伝子を単離した。Rad52は酵母においては相同組換えに一番重要な遺伝子である。この遺伝子はゲノムプロジェクトが終了している他の昆虫には存在していなかった。カイコ培養細胞において、Brca2及びRad52をRNAiによりノックダウンし、これらが組換えに関与しているかを調べたところ、Brca2が相同組換えに働いていることが明らかとなった。Rad52も生化学的に解析したところ、dsDNA・ssDNA結合、ライゲーションの促進、一本鎖DNAのアニーリング活性においてはヒトRad52と同様の活性を保持していたが、細胞内で実際にどのような働きを行なっているかは現時点で明らかではない。
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Research Products
(3 results)