2006 Fiscal Year Annual Research Report
幼若ホルモン拮抗阻害剤を活用したレセプター同定及び作用機構解明
Project/Area Number |
06J09535
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤田 雄大 九州大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 幼若ホルモン(JH) / JH拮抗阻害剤 / アフィニティクロマトグラフィ |
Research Abstract |
幼若ホルモン(JH)は昆虫の全ての成育段階で必須の生理作用を有するホルモンだが、未だレセプターが同定されておらず、作用機構の解明には至っていない。本研究では、JHの拮抗阻害剤を活用したレセプターの単離と作用機構解明を目指しており、昨年度は、まずJH拮抗阻害剤候補化合物の作用特性の検討、及び、それを用いたアフィニティクロマトグラフィーによる結合タンパク質の探索を試みた。 有望なJH拮抗阻害剤侯補であるKF-13は、カイコ幼虫に塗布すると加の欠乏症状である早熟変態を強く誘導する(JH阻害活性)。しかし、処理薬量の増加に伴いその活性が低下するという特性を有していた。JH生合成器官(アラタ体)摘出術を用いる事により、その原因は、KF-13自体が、JHアゴニスト活性も同時に有しているためである事を明らかにした。 KF-13の光学異性体それぞれの生理活性を比較した結果、 JHアゴニスト活性はS体で非常に強く、R体では極めて弱いこと、また、 R体のJH阻害活性は比較的強い事なども明らかになった。これらの結果から、KF-13のR体及びその誘導体がより有望なJH拮抗阻害剤となると考えられる。 次に、KF-13がJH阻害活性を示す際、JH加水分解酵素(JH Esterase)の活性を有意に上昇させる事を明らかにした。これは既知のJHアゴニストには見られない作用であり、KF-13特有の作用である。また、KF-13をリガンドとして固定したアフィニティ担体を用いてアフィニティクロマトグラフィーを行った。その結果、カイコ幼虫体液中から、JH結合能を有するarylphorinを含む3種類のKF-13結合タンパク質を単離・同定する事に成功した。JHそのものをリガンドに用いたアフィニティクロマトグラフィーでは、非特異的な結合が非常に多くなるのに対し、KF-13の場合、非特異的な結合はほとんど見られなかった。この結果は、JH標的器官に対し、同様の方法を用いる事で、JHの有望な作用点を効率よく単離できる可能性を示唆している。
|
Research Products
(2 results)