2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的基盤に基づいた食品成分の抗アレルギー性評価とその機能解析
Project/Area Number |
06J09543
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢野 知美 九州大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フラボノイド / FcεRI / PPARγ / KU812 / ヒト末梢血好塩基球 |
Research Abstract |
当研究室におけるFcεRI発現制御機構に関する研究から、核内受容体の一種であるペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(Peroxisome proliferators-activated receptor;PPARγ)リガンドが、FcεRI発現を負に制御することを明らかにしている。これまでの研究で、PPARγリガンド活性を有することが報告されているフラボノイド、特にフラボン類に分類されるchrysin、apigeninがヒト好塩基球様細胞株KU812のFcεRI発現を抑制することを見出している。そこで、PPARγ発現抑制細胞をRNAi法を用いて構築し、 PPARγリガンド活性を有するchrysinおよびapigeninの影響を検討した結果、chrysin、apigeninのFcεRI発現抑制作用にPPARγが関与することを明らかにした。以上のことから、フラボン類のFcεRI発現抑制作用には、PPARγに依存した経路が存在することが示唆されるとともに、抗アレルギー性天然物を探索する上で、PPARγの活性調節作用が重要な指標になり得るものと考えられる。 ヒト試験については、5人のドナーから採決して分離精製した末梢血好塩基球のFcεRI各構成鎖のmRNA発現レベルに及ぼすフラボン類の影響について検討した。その結果、chrysinおよびapigeninは全てのドナーから分離した末梢血好塩基球のFcεRI各構成鎖mRNA発現を顕著に低下させることが明らかとなった。この結果から、フラボン類はヒト培養細胞株だけでなくヒト末梢血好塩基球のFcεRI発現レベルも低下させることが示唆された。 多彩な生理作用が報告されている大豆イソフラボン(genistein、daidzein)とその代謝産物equolについてもフラボン類と同様にヒト好塩基球様細胞株KU812のFcεRI発現を抑制することが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)