2006 Fiscal Year Annual Research Report
共役リノール酸(CLA)による皮膚疾患の改善と予防
Project/Area Number |
06J09551
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
及川 大地 九州大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 共役リノール酸 / 皮膚 / ロイコトリエンB_4 / 痒み |
Research Abstract |
皮膚炎はますます増加傾向にあり、深刻な問題となっている。本研究では、摂取油脂の種類により皮膚炎を緩和・予防することが可能か否かを調べることを目的とし、共役リノール酸(CLA)またはリノール酸(LA)をマウスに投与した。アラキドン酸から合成されるロイコトリエンB,(LTB,)は皮膚の痒みの発症要因の一つであることが明らかにされてきた。一方、LTB_4合成を抑制する効果が、CLA投与後の肝臓、内臓脂肪および脾臓において認められている。そこで妊娠期に摂取したCLAまたはLAが、授乳期の母親または乳仔の皮膚LTB_4量に与える影響を検証した。 8週齢の雌マウスを3群に分け、それぞれの群に市販飼料、1%LA混合飼料、1% CLA混合飼料を交配前から出産後2週間与えた。これらの雌マウスと同週齢の雄マウスと交配した後、0、1、2週目の乳仔の皮膚および産後2週目の母マウスの皮膚を採取し、皮膚のLTB_4量を測定した。結果として、母マウスと0および1週目の乳仔の皮膚のLTB_4量には油脂の影響がみられなかった。しかし、2週目の乳仔において、対照群よりLA群は有意に高いLTB_4量を含有していた。一方、CLA群は対照群およびLA群の中間値を示し、両群との間に有意な差はなかった。結論として、LAの経口摂取により乳仔期の皮膚LTB_4量は増加することが明らかになった。しかし、LAの構造異性体であるCLAの経口摂取においては母仔の皮膚中LTB_4量に影響を与えなかった。 本研究から、母親が摂取したCLAは乳仔の皮膚炎の発祥要因にならないことが明らかになり、CLA摂取の主たる目的である抗肥満および抗腫瘍作用に負の要因をもたらさないことが判明した。この事実は、CLAのサプリメントとしての有用性を高める結果となった。
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Research Products
(4 results)