2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06J09572
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西中村 瞳 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | IL-10 / STAT3 / 抗炎症 / RNA結合タンパク / TLRシグナル / LPS / NF-kB / siRNA |
Research Abstract |
IL-10は抗原提示細胞(APC)に対して炎症性サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子の発現低下など、多くの効果を有する免疫制御性のサイトカインである。しかしながらIL-10がこれらの効果を発揮するメカニズムにはいまだに不明な点が残されている。IL-10の抗炎症性効果はSTAT3を介していることが知られている。マクロファージや樹状細胞において活性化されたSTAT3はLPS誘導性のIL-6,TNF-α,IL-12遺伝子の発現を抑制する。しかしながら、STAT3によるTLRシグナル抑制のメカニズムは明らかになっていない。本研究ではLPS誘導性NF-コB活性化における恒常的活性化型STAT3(STAT3C)の効果を検討した。HEK293/TLR4細胞に過剰発現したSTAT3CはLPS-TLR4を介するNF-コBレポーター活性を抑制した。これは野生型STAT3(wtSTAT3)または不活性型STAT3(dnSTAT3)では起こらなかった。STAT3Cの過剰発現は、IコBアのリン酸化およびMAPKの活性化、NF-kBのDNA結合能などのTLR4シグナル伝達には影響を与えなかった。従って、STAT3CはNF-kBの転写活性を直接的に抑制していると考えられる。この分子メカニズムを明らかにするため、プロテオーム解析法を用いてSTAT3C結合タンパクの探索を行った。その結果、新たにSTAT3Cと相互作用する、RNA結合タンパクであるαCP-1を同定した。αCPは、mRNAのCリッチピリミジン領域特異的に結合するKHドメインを含むRNA結合タンパク質ファミリーである。このタンパク質群は幅広く転写や翻訳などを制御している。αCP-1の過剰発現により、HEK293/TLR4細胞ではSTAT3Cの抑制効果が増強され、RAW264.7細胞ではNF-kB活性化とIL-6産生におけるIL-10の抑制効果が増強された。逆に、siRNAによるαCP-1のノックダウンではSTAT3CやIL-10の効果が減弱した。これらのデータはαCP-1がSTAT3を介したNF-kBの活性の抑制に関与していることを示唆している。
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Research Products
(1 results)