2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規MAPキナーゼ制御因子Sprouty/Spredの発生と癌における機能解析
Project/Area Number |
06J09575
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 浩二 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | チロシンキナーゼ / MAPキナーゼ / 器官形成 / 形体形成 / 発育不全 / ノックアウトマウス / 血球細胞 / FGF |
Research Abstract |
Sprouty 遺伝子はチロシンキナーゼ型受容体シグナルを抑制する細胞膜関連タンパク質である。ショウジョウバエSproutyの4つのオルソログ(Sproutyl-4)が哺乳類では同定されている。哺乳類Sprouty(mSprouty)の生体内での機能を解明するためにノックアウト(KO)モデルが作られている。Sprouty1欠損マウスはウォルフ管がグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)/RETシグナルに対する感受性が上がっているために腎臓の発生において複数の尿管と腎臓が形成される。Sprouty2欠損マウスは我々の解析の結果、腸や食道の神経過形成により食道アカラシア、拡張した食道、腸の偽閉塞、消化運動系の生理的異常を示すことが明らかにされた。これらの表現型はGDNFに依存しており、Sprouty2もGDNF/RETシグナルを負に制御していることを示している。このようにSprouty1とSprouty2の生理的な機能はジーンターゲッティング法を用いて調べられているが、今日までSprouty4欠損マウスの詳細な解析はまだ報告されていない。今回の研究ではSprouty4欠損マウスを作製し、特徴付けを行った。Sprouty4欠損マウスの大部分は生直後に下顎欠損のため死亡するが、残りは生存可能で生殖能力があった。大部分のSprouty4欠損マウスは発育遅延を呈し、ほぼ全てに合指症・多指症がみられた。Sprouty4欠損胎仔線維芽細胞(MEFs)において、FGFに対するERK活性化は遷延したが、EGFに対するERK活性化の遷延はみられなかった。Sprouty2とSprouty4の2重欠損マウスは胎生致死であり、頭蓋顔面、肢、肺の形態形成に重篤な異常を認めた。これらの知見は胚発生とFGFシグナルにおける、Sprouty2とSprouty4の機能が重複的であるとともに非重複的でもあることを示唆している。
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Research Products
(1 results)