2007 Fiscal Year Annual Research Report
親水性多孔質体におけるトリチウムおよびトリチウム水の移動現象の解明
Project/Area Number |
06J09607
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高田 大樹 Kyushu University, 大学院・総合理工学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 核融合 / トリチウム / 多孔質体 / 拡散 / 吸着 / コンクリート / 多孔質電解質膜 |
Research Abstract |
核融合炉トリチウム理工学で関連する多孔質体の重要な材料として、トリチウム電気分解用多孔質電解質膜とコンクリートがある。本研究者は、まずフッ素系プロトン導電性電解質膜内に存在する吸着水量の濃度依存性を水蒸気吸着等温平衡式の形で整理し、水蒸気分圧と膜内水クラスター量を関連づけ、吸着現象を定量的に説明する事に成功した。さらに水蒸気透過法によりフッ素系電解質膜内の水拡散係数の水濃度依存性を求め、クラスター吸着量と拡散係数の間で相関が有ることを見いだし、拡散分子直径と拡散抵抗の関係として理解することができた。炭化水素系電解質膜でも同様の傾向が有ることを見つけた。 コンクリートは、核融合炉の最終トリチウム閉じ込め容器であり、コンクリート壁中でのトリチウム移動はトリチウム安全閉じ込めのための重要な構造物である。コンクリートはセメントや砂利の混合物であり、多孔質で複雑な内部構造を持つことに着目し、本研究者は多孔質コンクリート体内における水素やトリチウム水移動現象を実験的および解析的に研究した。実験では、セメントペーストとモルタル状態中での水素と水蒸気の透過率を測定し、多孔質体内空隙率の実効拡散係数への寄与を定量的に明らかにした。さらにコンクリート内のトリチウム水蒸気の物理吸着量、化学吸着量、構造水量と平衡水蒸気圧間の関係をそれぞれ明らかにした。実験で求めた吸着速度や同位体交換速度から、コンクリート内でのトリチウム移動現象を多孔質体内の構造を考慮に入れたモデルを使って定量的に明らかにした。円筒型コンクリート内のトリチウム浸透速度を求め、上記多孔質体内の水蒸気移動モデルと比較し、定量的トリチウム移動評価モデルを構築することに成功した。研究成果は、外国雑誌等に発表した。
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Research Products
(4 results)