2006 Fiscal Year Annual Research Report
青色光受容体フォトトロピンのリン酸化反応を介した情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
06J09625
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 晋一郎 九州大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 青色光 / 光受容体 / リン酸化反応 / 気孔 |
Research Abstract |
青色光受容体フォトトロピンはフラビン結合性キナーゼであり、青色光を受容する活性化され、自己リン酸化を示す。ところが、この自己リン酸化を含めたフォトトロピンのリン酸化反応が、どのような意味を持つのか不明であった。私は、自己リン酸化したフォトトロピンに14-3-3蛋白質が結合することを明らかにしたが、その結合が生理学的にどのような意味を持つのか不明であった。本研究では、phot1の14-3-3結合部位にアミノ酸置換を導入し、結合が損なわれた変異phot1を発現する植物を作製し、フォトトロピン応答がどのように影響を受けるか調べた。予想に反して、14-3-3蛋白質の結合が損なわれた植物においても、フォトトロピン応答はほぼ正常に誘導された。そこで、このテーマは保留にし、phot1の生体内でのリン酸化部位を網羅的に同定することにした。 材料として、シロイヌナズナの芽生えを用い、phot1を植物から免疫沈降により大量に精製し、青色光に依存した自己リン酸化部位を質量分析により同定した。全部で8カ所同定されたが、これまでに明らかにされていた自己リン酸化部位とはほとんど一致していなかった。このうち、キナーゼドメイン内のあるセリン残基に着目して解析を行っている。そのセリンのリン酸化を特異的に認識する抗体を作製した結果、このセリンは青色光で活性化されたphot1自身のキナーゼによってリン酸化されていた。このセリンの青色光特異的なリン酸化が生理学的にどのような意味をもつのか明らかにするため、そのセリンをアラニンに置換した変異型PHOT1をphot1 phot2二重変異株に導入した形質転換植物を作製し、フォトトロピン応答調べた。現在、解析が行えるだけの種子を集めている段階である。 フォトトロピンキナーゼのリン酸化基質を同定する目的で、phot1キナーゼをベイトとした酵母Two-Hybrid Screeningを行っている。現在、600万クローンのスクリーニングで、9個の陽性クローンが得られた。引き続きスクリーニングを行い、結合因子の塩基配列を明らかにする。
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Research Products
(1 results)