2008 Fiscal Year Annual Research Report
フルオロアルキル系高分子の精密分子設計による表面機能性制御
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06J09664
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
本田 幸司 Kyushu University, 先導物質化学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高分子薄膜 / 濡れ性 / フルオロアルキル基 / 動的接触角 / 分子鎖熱運動性 |
Research Abstract |
本研究は、環境対応型の新規な短鎖フルオロアルキル基(R_f基)含有化合物の設計指針の確立を目的としており、これまでに濡れ特性に表面の分子鎖熱運動性が深く寄与していることを明らかにした。本年度は、その知見を更に深めるため、R_f基の末端が分岐した構造を有するポリフルオロアルキルアクリレート(PFAbr)とポリフルオロアルキルメタクリレート(PFMAbr)、およびアクリレートのα位にフッ素原子が置換されたポリフルアルキルα-フルオロアクリレート(PFFA)薄膜の濡れ特性と分子鎖熱運動性との関係を評価した。 PFAbr、PFMAbr薄膜においては、末端が分岐していないPFAとPFMAと比べて、撥水撥油性に差違は観られず、R_f基の分岐による撥水撥油性への影響は無い事が明らかになった。一方、PFAbrとPFMAbrで比較した場合、PFMAbrの方が撥水性は高かった。以前の研究成果より、PFMA系ではα位のメチル基の存在により主鎖が剛直になり、その結果R_f基の分子鎖熱運動性が抑制さるため撥水性が高くなる事が明らかになっている。今回の場合も、PFMAbrの方で撥水性が高かったのは、α位のメチル基に起因すると考えられる。以上の事がら、短鎖R_f基でも高い撥水性を発現させるための一手法として、主鎖への置換基の挿入が有効であると結論づけられる。それを裏付けるように、短鎖R_f基のPFFA薄膜においても、高い撥水性を示した。さらに、PFMAでは撥油性が低い傾向にあったのに対して、PFFAでは、撥油性に関しても高い事が明らかになった。X線回折測定により、PFFAでは秩序構造を形成する事が明らかになっている。その事から、PFFAでは秩序構造の形成によりPFMAよりも更に分子鎖熱運動性が低くなる結果、撥油性も向上したと考えられる。このような結果になったのは、C-F結合の双極子-双極子相互作用によるものであると考えられる。以上の結果より、化学構造や性質を考慮した置換基の選択により、短鎖Rf基においてより高い撥水撥油性を発現させる事が可能である事が明らかになった。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Precise Design of Surface Nanotexture and Surface Chemistry of Polymeric Solids2009
Author(s)
K. Honda, H. Yamaguchi, T. Kimura, Y. Terayama, M. Kobayashi, M. Motrita, H. Masunaga, S. Sasaki, O. Sakata, N. Torikai, K. Ishihara, A. Takahara
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Journal Title
Composite Interfaces 16(in press)
Peer Reviewed
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