2006 Fiscal Year Annual Research Report
高分子薄膜表面・界面を反応場とした光化学反応と分子運動特性解析への応用
Project/Area Number |
06J09675
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立石 洋平 九州大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高分子 / 超薄膜 / 表面 / 界面 / 分子鎖熱運動 / 自由体積 |
Research Abstract |
高分子薄膜はデバイスなどを構成する重要なツールであり、注目される材料である。その中でも光反応を利用したデバイスの開発は、更なる発展が求められている。こうした中でこれまで未解明であった高分子超薄膜、さらには表面・界面の物性を明らかとしつつある当研究をこの分野に活かしていく事を目的とする。今年度は、高分子薄膜中におけるアゾベンゼン(Az)の光異性化挙動を評価し、超薄空間に拘束した分子鎖の熱運動性、特に、比較的小さなスケールの分子運動性について検討した。 ポリスチレン(PS)鎖に化学結合したAzの膜中におけるtrans→cis光異性化反応を膜厚,分子量,温度の関数として検討した。光源としてXeランプを用いて350±5nmの紫外光を照射し,trans体の吸光のピークである波長336nmの吸光度の紫外光照射時間依存性について検討した。膜中における光異性化反応は速いモードと遅いモードが存在する。速い異性化成分の割合(I_1)は,膜厚200nm程度以下で薄膜化に伴い増加した。これは光異性化反応がバルクより速く進行する表面層を仮定し,薄膜化に伴い表面層の全体に対する寄与が大きくなると考えることで説明できた。I_1の膜厚依存性は分子量に依存しなかった。多層膜モデルにより解析した表面層厚は,温度の上昇に伴い増加した。興味深いことに,β,γ緩和といった比較的小さな分子運動が緩和する温度域で不連続的に厚くなった。これは、異性化反応に分子量依存性が観測されなかったことと対応した。また、膜の表面近傍では密度が低下していると結論した。
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