2008 Fiscal Year Annual Research Report
高分子薄膜表面・界面を反応場とした光化学反応と分子運動特性解析への応用
Project/Area Number |
06J09675
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立石 洋平 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 高分子 / 超薄膜 / 表面 / 界面 / 分子鎖熱運動 / 蛍光 |
Research Abstract |
高分子薄膜はデバイスなどを構成する重要なツールであり、注目される材料である。その中でも光応答性プローブを導入したデバイスの開発は、更なる発展が求められている。これらのツールは微細化が要求されるが、表面・界面の系全体を占める割合が増加するため、プローブの応答性およびマトリクスの物性はバルクにおけるそれとは異なることが予想される。そこで、高分子超薄膜、表面および界面におけるプローブの光応答性をマトリクスの分子運動性と関連付けて検討した。 これまでに、ポリスチレン薄膜中に機能性分子として蛍光分子(NBD)を導入し、蛍光挙動を評価した。薄膜化に伴い、蛍光量子収率が減少した。これは、表面の効果によるものと結論した。また、基板界面の効果を直接検討するため、エバネッセント励起蛍光寿命測定を行った。界面近傍における蛍光寿命はバルクと比較して長くなった。このことからポリスチレンの分子運動性は界面近傍で抑制されていることが示唆された。基板界面近傍のガラス転移温度(T_g)をエバネッセント励起蛍光測定に基づき評価した。界面近傍のT_g(T_g^i)はバルクと比較して上昇していることを明らかにした。T_gが上昇している深さ領域は分子鎖の空間的広がり程度であり、上昇の度合いは基板の表面自由エネルギーに強く依存した。また、T_g^iは分子量とともに低下したが、その変化量はバルクにおけるそれよりも小さかった。これより、分子鎖末端は界面に凝集するため、主鎖部の運動性が抑制されると結論した。膜厚50nm以下の薄膜では、界面近傍における分子運動の抑制は低減した。この結果は、薄膜化に伴い表面および界面効果が打ち消しあうよう作用したと考えることで説明できた。
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Research Products
(5 results)