2006 Fiscal Year Annual Research Report
高次誘導ラマン散乱による極限の紫外超短パルス光の発生
Project/Area Number |
06J09678
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
貴田 祐一郎 九州大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 紫外超短パルス光発生 / 回転誘導ラマン散乱 |
Research Abstract |
本研究では、水素ガス中でのコヒーレントラマン散乱により発生した回転ラマン線を位相同期させることで紫外超短パルス光を発生させる研究を行った。研究の結果、パルス幅10フェムト秒程度の超短パルス光を発生可能な本数の回転ラマン線を、常時発生可能な条件を特定することに成功した。また、得られた回転ラマン線の間の位相のずれを、2つのプリズムから構成される位相分散補正装置を用いて補正することで超短パルス光を発生させる実験を行った結果、18フェムト秒の紫外超短パルス光を発生させることに成功した。このパルス幅は圧縮前のパルス幅100フェムト秒と比べ、5分の1以下まで圧縮されており、大きなパルス圧縮効率である。また、このパルス幅は理論上10フェムト秒程度まで短縮することが可能であるため、パルス幅を18フェムト秒に制限している要因を検討した。その結果、このパルス幅は主に以下の要因により制限されていることが明らかとなった。つまり、本研究では2つのレーザービームを同軸上に重ね合わせた後、水素ガス中に集光しているが、それら2つのビームの重なりの精度が不十分であり、僅かでも交差している場合、発生する回転ラマン光の間に波面の不一致が生じてしまうということである。この場合、発生する超短パルスのPulse Frontがビームの伝搬方向に対して傾いてしまい、結果として実効的なパルス幅が10フェムト秒よりも拡大されてしまう。レーザービームの位置と伝搬方向とを同時に測定する装置を実験配置に組み込むことにより2つのレーザー光を高精度に重ね合わせること、また、その後の精密な位相分散補正による回転ラマン線の位相同期を達成することでこの問題を解決できれば、10フェムト秒パルスへの更なる短縮化を達成できることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)